月経後期
月経後期は、周期が38日以上に延長し、ひどければ２〜３ヶ月に１回、あるいは半年に１回の月経という場合もあります。
寒凝タイプ
月経時や出産時に、寒冷の環境や薄着で冷える、冷たいものの摂り過ぎ、風邪を引くなど寒冷の邪を受け、寒邪が月経をコントロールする衝任脈に侵入して血液を凝滞させたもの。
血虚体質の場合、寒邪を受けやすく、長引くと陽気を消耗して虚寒タイプへと移行します。
【症状】
経血の色が暗紅色・少量、血の塊が混じる・強い月経痛・触れられたり擦られたりするのを嫌がる
下腹部の冷え・顔色は青い・水にぬれたような舌苔・脈沈有力
方剤：当帰四逆湯 当帰四逆加呉茱萸生姜湯 五積散 温経湯
虚寒タイプ
寒凝が体内で長期間停留した・先天的虚弱・慢性病、出産による衰弱などで陽気が衰弱し、血を推動する力が弱くなり、温める力も低下して生じた虚寒の冷え（体内の冷え）によって血が凝滞するもの。
【症状】
経血の色は黒くて量が少ない・月経終了後に下腹部の鈍痛が起こる事があり、温めたり擦ると軽減する
疲れやすい・寒がり・下腹部や手足の冷え・腰や膝がだるく力が入らない・舌質が淡くぼってりとし、水にぬれたような舌苔・脈弱遅
方剤：八味地黄丸 右帰飲 右帰丸
血虚タイプ
慢性病、出血、多産などによる血の消耗、脾虚による血の産生不足が原因で、陰血が不足して衝任脈をなかなか満たせないために月経の周期が延長するもの
【症状】
経血量は少なく、色は薄い・月経終了後に下腹部がしくしくと痛む・痛みは押さえたり擦ると楽になる
顔色や皮膚は艶がない・毛髪が抜けやすい・爪がもろい・目の疲れ・
目の異物感・目のかすみ・四肢のしびれ・動悸・舌質が淡・脈細
方剤：当帰補血湯 八珍湯 十全大補湯 人参養栄湯
肝鬱気滞タイプ
精神的ストレス、悩み、怒り、不安、緊張などで肝気が鬱結し、肝の疏泄機能が十分にできなくなって気機が鬱滞して、気の推動が行われにくくなり、血行が不十分になるため、血を衝任脈を通じて胞宮へ下注させるのが滞り、月経が延長する。
【症状】
経血量は少なく色は正常・月経前か前半に下腹部のはった痛み・触れられるのを嫌がる
憂鬱・イライラ・ヒステリック・怒りっぽい・胸脇部や乳房のはり腹満・弦脈
方剤：四逆散 逍遥散 加味逍遥散
痰湿タイプ
多食、食生活の不摂生、アルコールなどで脾胃が障害されて水湿の運化機能が低下するために痰湿が生じ、痰湿が下注して衝任脈を阻滞し表九への血の下行が遅延し月経周期が延長するもの
【症状】
経血が淡色で粘稠・ふだんから帯下が多い
肥満気味・身体がだるい・むくみ・胸や腹のはり・吐き気・口が粘る・しろくべっとりとした舌質
方剤：二陳湯 平胃散 二朮湯 六君子湯 茯苓飲
