漢方薬Q&A

病院でもらう漢方薬と、市販の漢方薬の違いは何ですか?

一つは、成分量が違う(市販薬の方が少な目です)こと
もう一つは市販薬では、医療用漢方製剤にはないものでも購入できるという点が違います。
 
 
我が国で医薬品として承認されている漢方薬は294処方ありますが、そのうち保険適応となる漢方薬の処方は148処方です。
 
有名なツムラ「葛根湯」であれば、医療用でも市販薬でも利用できます。この場合、1日量に少し違いがあり、
 
市販薬
本品2包(5.0g)中、下記の割合の根湯エキス(2/3量)2.5gを含有
 

日局カッコン 2.68g 

日局タイソウ 2.01g 

日局マオウ 2.01g 

日局カンゾウ 1.34g 

日局ケイヒ 1.34g 

日局シャクヤク1.34g 

日局ショウキョウ 1.34g 

 
医療用漢方製剤「葛根湯」

本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス3.75gを含有
日局カッコン   4.0g
日局タイソウ   3.0g
日局マオウ    3.0g
日局カンゾウ   2.0g
日局ケイヒ    2.0g
日局シャクヤク  2.0g
日局ショウキョウ 2.0g

 

 
 
と市販薬の方が1日量としては少なめに入っています。

 
だだし、どちらも本来の葛根湯に比べて少ない量が入っていることは変わりありません。
 
ちなみに、中医学での葛根湯は

葛根1g、麻黄9g、桂枝6g、白芍6g、生姜9g、大棗6g、炙甘草6g を1日量として煎じ薬とします。


 

市販薬でしか購入できない漢方薬もあります。
例えば、咽喉が痛いときによく効く「銀翹散」は保険適応対象外となりますので市販薬でしか購入できません。
 
また、医師が処方する場合には、「適応症」に該当する症状に対して処方されることになります。
 
本来、漢方薬は「証」を見て処方されるため、頭痛や眩暈であってもその原因がどこにあるのか?
四診:望診・聞診・問診・切診を行い、冷えなのか熱なのか、体力の程度はどうか?胃腸機能が落ちていないか?精神症状はどうか?など体全体の状態を把握し、同じ症状であっても人によって服用する薬が異なります。
 
漢方専門医であれば、このあたりをしっかりと考慮し、医療用漢方であっても生薬を加味したり、2剤、3剤を合剤として処方し、「証」に近い内容にして処方します。
 
医療用漢方製剤は、本来の原典の生薬量とは違いかなり少なくなっているので、加味や合剤とする必要があるのです。
 
言い方は悪いですが、医師の中には漢方をよく知らず、「この症状にはこの漢方」というような、メーカーからの受け売りのまま処方する医師もいますので、漢方医に診てもらいたい場合には、きちんと診断ができる漢方医に診てもらいましょう。
 
 

 

 

煎じ薬と、エキス剤の違いは何ですか?

エキス剤とは、生薬を煎じたものを濃縮し、乾燥させて賦形剤(乳糖など)を加えて製剤化したもの
煎じ薬とは、生薬そのものを鍋にいれ、水を入れて半量〜1/3程度に煮つめたものです。
 
 
よく、インスタントコーヒーとドリップコーヒーの違いに例えられます。
 
エキス剤では、本来煎じなら後下(先に他のものを煎じておき、最後に軽く煎じる手法)や烊化(別に溶かす)するものも全てエキス剤として配合されており、本来の効能があるのか?という疑問が残ります。
 
特に、芳香性の生薬は香りが飛びやすく本来であれば長時間煮つめないで最後に加えます。
 
また、原方(元になる原典に記載されている方剤)では煮つめ方もあっさりとか長時間とかかなり詳しく記載されており、それに従って作られる煎じ薬のほうが本来の効果が得られることは間違いありません。
 
ただ、かさばる・手間がかかるなどの利便性でエキス剤が一般的となっているのが現実です。
 
また、牛車腎気丸・六味地黄丸・八味地黄丸・桂枝茯苓丸など、●●丸となっているものは、本来は生薬を細かく砕き、目の細かい古いにかけ、蜂蜜などの結合剤で「丸」として作られるもので、決して煎じるものではありません。
桂枝茯苓丸という名前であっても、医療用漢方製剤はエキス剤として処方されるため、丸剤本来の効果があるかというとこれも疑問です。
丸剤は丸剤として、散剤は散剤として飲むのが本来の漢方薬です。
 
医療用漢方製剤ではエキス剤であっても、市販薬では丸剤として販売されていますので、この場合は丸剤を利用した方が効果がでると言えるでしょう。
 
また、自費と保険診療での決定的な違いは生薬の質にも現れます。
 
健康保険適応となる漢方薬・生薬は、薬価が設定されているためより納入価格が薬価以下でなければ、医療機関としては利益が出ません。
 
生薬自体の価格が上がっている今、品質が良いものほど値段は高くなります。
 
良い生薬を仕入れて、保険に適応させると利益は全くなくなるどころか赤字です。ということは、保険適応される漢方薬は、それなり・・ということです。
 
 
 

 

 

漢方薬は高いイメージがあるのですが実際に高いのですか?

保険医が処方する処方箋医薬品については薬価が設定されており、調剤薬局では、調剤基本料・薬学管理料・調剤料と薬剤料(薬価×処方量)として請求されます。
 
同じ漢方薬でも、メーカーによって薬価が異なることもあります。
 
3割負担になるため、市販薬よりも安くなる場合がほとんどでしょう。
 
ただし、医師の診察料・調剤薬局での支払いを考えると市販薬を購入した場合の方が安く済む場合もあります。
 
西洋薬に関しては、処方箋医薬品だけでも1錠数円で設定されているものから、数千円、数万円で設定されているものもあります。
また、基本的に1成分1剤であるため、症状が多くなればそれに対応するために薬の数が増えていくことになります。
 
漢方薬の場合には「証」を考えるため、様々な症状があっても一つの漢方薬で治療できる場合もあります。
 
漢方薬は高いというイメージがありますが、保険が適用されるものは月に3000円前後、自費になると1日500円から700円程度が一般的なようです。(自費の場合には使用される生薬によってかなり値段が違います)
 
ただ、医療用漢方製剤は一般的にエキス剤であり、本来の原方(原典に記載されてい方剤)に比べて量が少なく、本来は丸剤・散剤のものもエキス剤としている場合もあります。
 
効果という点で言えば、自費でも本来の量を用いる煎じ薬として服用する方が勝るでしょう。

 

 

生薬と漢方薬の違いは何ですか?

生薬は、漢方薬を構成するそれぞれの植物・動物・鉱物などの総称で製剤として利用するために炮製されたものも含みます。

漢方薬は中国で古代有名な老中医によって発明された生薬の組み合わせ(方剤)が、日本に渡り独自の発展を遂げる中で、経験・医学的基礎を確立して現在も用いられているものです。

※漢方薬というのは日本での名称で、中国では「方剤」として一般的に知られており、その方剤の数は10万種とも言われています(日本が認めいる漢方方剤の種類は、一般薬・医療用を含めて294種類です)

 

個々の生薬だけでは本来なら持たない効能が、方剤になると現れたり、毒性が減弱されたり、相乗的な効果(1+1が4にも5にもなる効果)が現れたりします。

漢方薬として販売されているものの中には、方剤とはかけ離れた組み合わせで、いくつか生薬が入っているだけなのに、「漢方」と名乗っているものがあります。

本来の「漢方薬」の効果は、生薬を組み合わせただけでは得られません。

 

 

漢方薬は、医学的基礎を根底としながらも、何千年に渡る経験と知恵によって受け継がれてきた「医療の知恵の結晶」とも言えるでしょう。

中国の漢方と日本の漢方は違うのですか?

日本の漢方薬は、日本の風土・気候や日本人の体質にあわせて独自の発展を遂げたものです。

漢方という名称の由来は、日本へ伝来した西洋医学である「蘭方」と区別するためにつけられました。漢方薬は、成分解析が進み、西洋医学的な疾病への応用が世界的にも認められています。

 

中医学と漢方薬では扱う生薬・方剤は似ている部分も多いですが、一般的に漢方薬が症状に合わせて処方されるのに対し、中医薬ではそのヒトの証を診る(弁証)して、何故その症状が出ているのか?を追求し、アンバランスを整えることに重きを置いています。

中医学では生薬は中薬と呼ばれ、日本で使われる生薬と全く同じものもありますが、炮製の方法や基原植物が異なることもあり、中薬の種類は日本で使われる生薬よりも多くなります(中国で常用される中薬は700種類)。

また、方剤中の中薬の量は、一般的に中医学では日本の漢方薬の3倍またはそれ以上の量が使われます。

日本で医薬品として認められている漢方薬は249種類(うち148種類が保健用漢方製剤)です。

生薬中の成分の研究も進み、効果との関連が数多く報告されています。

漢方薬の研究という意味では、日本は中国よりも進んでいるといえます。

 

中医学では、なぜ効果があるのかは説明できない方剤もあります。しかし、明らかに有効なものとして中薬を組み合わせたもの=方剤が老中医(中医師として権威のある方)により作られ、古典(中医学の専門書)に掲載されて受け継がれ、現在では10万以上の方剤が書物に収められています。

漢方薬は健康保険の適応になりますか?

 

我が国で医薬品として承認されている漢方薬は294処方ありますが、そのうち保険適応となる漢方薬の処方は148処方です。
 
保険適応可能なものと、保険適応できないものがあるというのがその答え。
 
ただし、漢方薬に限っては、保険適応されているものが品質がよいという事はありません。
 
保険適応される場合には、国が定めた薬価が薬剤価格となりますので、仕入れ値よりも薬価が低くなると医療機関にとっては利益になりません。
 
生薬は野菜と同じように、無農薬で製品管理が徹底されたもの、産地にもこだわったものを仕入れようとすると値段は高くなります。そのため、必然的に仕入れ値が安いものを選びます。
生薬の原料価格の高騰のために、品質にこだわるメーカーは保険薬としてではなく、自社製品の一般用医薬品や漢方専門薬局への生薬提供事業に力を注ぐ傾向があります。
 
保険適応される生薬・漢方薬の品質は、それなり・・・ということになります。
 
本当に、漢方薬の効能を引き出そうとすれば、生薬も厳選して選び、適切な量を用いるため保険が適応されずに自費診療となる場合もあります。

メーカーによって同じ漢方薬でも成分に違いがありますか?

日本で販売されている漢方薬は、出典(古典)が同じですので、漢方を構成する生薬は同じです。
 
ただし、メーカーによって使用する生薬の品質や抽出技術、またエキス剤であれば添加物(賦形剤・矯味剤など)に違いがあり、それが効能に影響する場合もあります。また、製品含量としての生薬の含有量が少し違う場合もあります。
 
また、出典が丸剤・散剤となっているものは、丸剤・散剤として作っているメーカーのものの方が本来の効能を発揮できます。
 
 
漢方薬は、成分が腸内細菌によって分解されて効果を発揮するものもあり、腸内細菌の個人差が効果の差として現れることもあります。
 
日本で販売されているメーカーに限って言えば、「構成される生薬は同じ」ですが「添加物の違いや製法の違い・製造技術の違い」が成分含有量の差・効能の差となって現れることもあると言えるでしょう。
 
 
市販薬でいえば、私が勤務している薬局もそうですが、漢方薬を扱ってる薬局では「ジェーピーエス製薬株式会社」「三和生薬株式会社」の製品を置いている薬局が多いように思います。
製法や添加物の違いもそうですが、原料となる生薬の選定が効果をしっかりと感じるためには大切です。
 
 

 

 

「証」とは何ですか?

 

中医学では「証」を基に治療法を決定します。中医学で「証」を決定するには、※四診(以下に説明)によって集めた症状・情報・徴候を総合軍籍し、診断性の結論としたものです。
 
望診:全身・局部の神色形態・舌象・排泄物などを観察
聞診:言葉や呼吸などの音声・体臭や排泄物の異常な匂い
問診:発病に関することや進行状況・現在の主要な症状を尋ねる
切診:脈拍・身体の関係する部位に触れる
 
疾病が進行する某時点の病因・病位・病性・正邪関係・病勢・臓腑の関係などを高度にまとめたものを「証」として表します。
 
これは、西洋医学でいう「病名」のように固定したものではなく、同じ症状であっても「証」は一人一人違います。
いわば、「あなただけの証」と言えるでしょう。

漢方医や漢方薬局ではどのような診断を行うのですか?

漢方医や漢方薬局では、四診と言われる中医学・漢方医学独自の診察によって情報を集めて行きます。

 

四診

望診:全身・局部の神色形態・舌象・排泄物などを観察
聞診:言葉や呼吸などの音声・体臭や排泄物の異常な匂い
問診:発病に関することや進行状況・現在の主要な症状を尋ねる
切診:脈拍・身体の関係する部位に触れる
 
 
一つ一つについて、どういう状態であれば、体内ではどのような状態になっているということが基礎理論として確立されており、これらの情報を総合して、診断・治療へと向かいます。
 
例えば、望診の中で顔面の観察では
 
  • 顔面部には血絡が豊富にあるため体内の気血盛衰変化が出やすい
  • 顔面の場所と臓器が対応                    することが根底にあり、
 
 
 
色  — 陰・血(血液の充実と不足、運行状況を反映)
光沢 — 陽・気(臓気の光華=輝き・精気の盛衰を反映) を表しています。
 
顔面の望診により、
 
1⃣ 気血の盛衰を判断:色艶は臓腑気血の外の表れであり、気血の盛衰と運行状況を反映。
※症状の軽重・転帰を予測するすることから言えば、艶の方が意義が大きい。
 
 
例:顔が赤い ⇒ 熱邪
  顔が白い ⇒ 寒邪
  顔や目が黄色 ⇒ 湿熱勲蒸(湿熱にいぶされた)
 
 
2⃣ 病邪の性質を識別異なる病邪を感受すると、体内に異なった病理変化が発生し、それが顔面部に異なる色艶の変化として表れる。
 
色と臓器の関係
青 ⇒ 肝
赤 ⇒ 心
黄 ⇒ 脾
白 ⇒ 肺
黒 ⇒ 腎
 
 
3⃣ 病位部位の確定
色が浮いている  ⇒ 病位は表
色が沈んでいる  ⇒ 病位は裏
 
が診断できます。
 
特に、舌象には、臓腑の状態が反映されるため重視されます。
 

「舌診の内容」

舌質と舌苔の変化を観察

舌質=舌の筋肉や経絡組織 臓腑気血が栄養している
   色・形質・動態・舌下絡脈などを検査 ⇒ 臓腑の虚実・気血の盛衰・気血運行の状態を判断

舌苔=舌面に付着した一層の苔状物 胃気が蒸し上げて生じたもの
   苔質と苔色を診察 ⇒ 病邪の深さ・邪正の消長を分析

 ※必ず舌質と舌苔を総合して分析する
 
 
 
西洋医学では、検査値が重視され、値が基準値から外れると病名がつけられ、また検査には異常がない場合には病気であると診断されません。
 

 

中医学や漢方医学では、普通の状態からはずれて不調を訴えていれば、四診によりどこに異常があるのかをつきとめ、それを補正する治療を施します。

漢方薬と民間療法の違いは何ですか?

民間薬は、伝承的に使用されてきた「手当」の方法で、医学的な根拠はなく、またあったとしても「後付け」されたものです。

また、素人判断で用いても安全性が高く、有害な事例は起こらないものです。

 

ドクダミを例にとると、民間療法では「はれものやおでき、湿疹やかぶれなどに、茎葉をすりばちで つぶすか 柔らかくもみつぶして患部に当てる」という手法が取られます。

 

 

ドクダミは、中医学では「魚腥草(ぎょせいそう)」と呼ばれ、清熱解毒・利水通淋作用がある中薬です。

中医学の方剤として、「加味魚枯湯」 の構成中薬で、痰熱が壅盛(盛んになった)ときの肺癕(肺化膿症)の治療薬として使われています。

 

日本では「五物解毒散」という漢方薬に魚腥草(ドクダミ・または十薬)が使われており、かゆみ・湿疹を目標に痔疾患や肛門の潰瘍にも応用されます。

 

 

漢方薬・方剤としてのドクダミは、使用量や煎じ方なども決まっており、長い長い年月をかけて「治療」を目的に受け継がれてきた方法が集約された「伝統医療の知恵の結晶」といえるでしょう。

 
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 その際、生活習慣や食事、メンタルケアなど、現在の症状を和らげるためにために適切だと思われるセルフケア方法もご提案します。

 

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  2. より正確な弁証をするため、詳しくお聞きする場合がございます
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  5. 現在服用中の薬・治療中の疾患がある場合には必ずお伝えください